昨年一番読まれた記事マグネットスイッチについてや寸法検査について、そして前回の塗装色検査についてとJEM規格ってよく出てくるけど、なんのこと?
JEM規格とは日本電機工業会(通称:JEMA)が作成した規格のことを指します。
日本電機工業会は、発電用、送変配電用、公共施設用、産業設備用などに係る大型の機械設備、また家庭用の電化製品全般など(詳細は別掲を参照のこと)を基準として『取扱製品基準表 』に定めています。
JEM規格では、その表に係る電気機器の「設計」「製造」「試験」及び「使用事項」について標準を定めています。
規格を定める=標準化する(判断の基準を作る)ということで、製品を標準化することによって次のような良い事があります。
標準化のメリット
などがあります。
電機メーカーの交流団体「八日会」を製品の改良や技術の標準化を目的とする組織へ昭和11 (1936) 年に改組したことに始まるメーカー団体(工業会)です。
主な事業活動として、
といったものがあり、今回のJEM規格に関わる内容としては最後の国際標準化・適合性評価活動の推進という項目が当てはまります。
その内容は、
といったものです。
例えば、前回の塗装色検査についてでもご紹介しましたが、JEM 1135(配電盤・制御盤及びその取付器具の色彩)によって、制御盤のパーツごとの色も細かく定められています。
対象 | 色彩 | ||
---|---|---|---|
盤 | 盤本体 附属構造体 収納機器の金属露出部 |
5Y7/1 | |
盤表面取付器具など | 計器、継電器などの盤表面に露出する器具のふち枠 | N1.5 | |
開閉器、操作器などの操作部 | 一般用 | ||
非常停止用 | 赤 | ||
銘板 | 材質が金属の場合 | 地色: 銀白 文字: 黒 | |
材質が合成樹脂の場合 | 地色: 白 文字: 黒 | ||
模擬母線 | JEM1136による |
みなさんも一度は見たことがある銘板※1。こちらもサイズや材質、取り付け方法など、JEM 1172(配電盤・制御盤取付銘板)により細かく定められています。
※1 名称銘板…盤に取り付け、盤の用途、機能などを表したもの
用途銘板…盤に取り付けた周辺の器具に取り付け、その器具の用途、機能を表したもの
A | B | C | D | d | E | F | t | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
樹脂 | 金属 | |||||||
63 | 400 | 50 | 387 | Φ3.5 | 6.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
63 | 315 | 50 | 302 | Φ3.5 | 6.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
63 | 200 | 50 | 187 | Φ3.5 | 6.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
40 | 250 | 33 | 237 | Φ3.5 | 3.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
40 | 200 | 33 | 187 | Φ3.5 | 3.5 | 6.5 | 3 5 | 2以下 |
31.5 | 100 | 24.5 | 94 | Φ2.7 | 3.5 | 3 | 1 1.5 2 | 2以下 |
JISとは、日本産業規格(英語:Japanese Industrial Standards)のことで、産業標準化の促進、または国際標準化の促進を目的に制定された日本の法律「産業標準化法(JIS法)」に基づいて作られた規格で、国に定められた機関(認定標準作成機関)の申し出や、経済産業省に設置される審議会(日本産業標準調査会)の答申を受けて大臣(経済産業大臣・厚生労働大臣・国土交通大臣・農林水産大臣など)が制定する日本の国家標準の規格をいいます。
JIS規格は法律に裏付けられた日本の国家標準規格なのに対し、JEM規格とは、一般社団法人日本電気工業会(JEMA)が定めており、国ではなく関係するメーカーが集まり、保有する実証データをもとに規格が決められています。そもそもJEM規格は、JIS規格の上に成り立っているということですね。
双方の基本的な考え方に大きな違いはありませんが、安全性に関する規定が異なったり、規格の範囲が異なったりと、JIS規格はどちらかと言えば必要最低限のものであるのに対し、JEM規格では安全性や信頼性に厳しい基準が設けられており、制御盤を設計・製作するメーカーは基本的にはJIS規格かJEM規格、どちらかの規格に準拠して基本設計を進めるようになっています。