制御盤が、壁掛けタイプのものから自立タイプのものまでほぼ全て、数点のアンカーボルトと呼ばれるボルトで固定されているのをご存知でしょうか?
実はこの固定、緻密な計算の基に行われているのです。
制御盤を設置する際、この計算結果から工事屋さんに
「厚さ○○mmのコンクリートに、
太さ●●mmのボルトを■■本使って固定してください」
というような指示をしています。
設置する制御盤の形や大きさ、設置する階数などによって、この指示内容は変わります。
今回はこのコンクリートの厚さやボルトの長さを決めるために行う「耐震計算」について見ていきましょう!
「耐震計算」とは、設置する制御盤の「重量」、「倒れる方向のアンカー間隔」、「地面から重心までの高さ」などの数値を計算式に当てはめて、「アンカーボルト1本当たりの引張り力」「アンカーボルト1本当たりのせん断力」を計算し、最終的に安全な設置に必要な
を算出することです。
耐震計算には、「重さ」や「重心位置」などの、制御盤本体の情報だけでなく、設置する場所も深く関わっています。
設置するフロアが何階なのか、設置する地域はどこなのか、建物の耐震クラスはいくつなのか、などの条件と合わせて設置方法を決めていきます。
これら建築業界のルールに則って「耐震計算」をするのも頷けますね。
アンカーの方式には前施工、後施工があります。
それぞれの施工方式には代表的なものに
呼ばれるものがあります。
アンカーボルトを定位置にセットして、コンクリートを後から流し込む、昔ながらの施工方法です。
一般的にはJ型やL型のボルトを使用します。コンクリートを流し込むことで、アンカーボルトの上部のねじ部分だけが頭を出している状態になります。
コストはかかりますが、アンカーボルトがコンクリートに密着している部分が多いので、強度が強く、大型機器の設置によく用いられます。
既存のコンクリートに穴を開け硬化剤が入ったカプセルアンカーを挿入し、ボルトを打ち込みます。
ボルトを打ち込むことでカプセルを破粉し、ボルトの周りが硬化剤で満たされることでしっかりと固定されます。
ケミカルアンカーと同様に、コンクリートにあけた穴にボルトを挿入します。
ボルトを打ち込むことでアンカーボルトの先端が広がり(たこさんウインナーのような形に広がる)、摩擦の力で固定する方法です。
部分的な固定なので、全体的に固定してしまうケミカルアンカーより強度は劣ります。
緻密な計算をして設置方法を決めるのにはわけがあります。
それは「耐震計算」の文字通り、地震対策をすることになるからです。
制御盤は縦長の長方形であることが多く、構造上倒れる危険性が高い為、地震などの災害時に倒れないように固定する必要があります。
そのために耐震計算式を使って安全な設置方法を導き出しています。
東日本大震災以降、お客様から耐震計算をするように要望が増えています。
耐震計算は制御盤本体だけでなく、周辺の安全を守るためにも大切な工程なのです。