東洋電装で製品出荷前に行っている検査の中に塗装膜厚測定というものがあります。
今回は、塗装膜厚測定についてご紹介しようと思います。
塗料は乾燥して膜になります。その膜の厚みが「膜厚」で、正確には「塗膜厚」と言います。
厚みを数値化するときに用いられる単位はμm(ミクロン)です。※1μmは1/1000mm
膜厚を測るためには①「膜厚計という測定器を使用する方法」と、②「電解液を使用して電量式で測定する方法」があります。
①は非破壊タイプ、②は破壊タイプです。制御盤の塗装検査においては、②の方法は塗装を剥がすことになりますので行われません。
ここでは①の方法をご紹介します。
膜厚計には測定方式によって大きく分けて以下の二つのタイプがあります。機器によっては1台で切り替えができるものもあります。
下地が鉄などの「磁性金属(=磁石が付く)」の場合に使用します。
低周波交流電磁石の入ったプローブの先端に磁性体を近づけると、磁石が磁性体を引き付ける事に対する反作用(電磁誘導)が起き、二者間の距離の僅かな変化に対応して、2次コイルの電圧が変化、これを利用して塗膜の厚さを測ります。
測定対象:磁性体(鉄、鋼など)素材上の非磁性皮膜(メッキ、ペイントなど)
下地がアルミやステンレスなどの「非磁性金属(=磁石が付かない)」の場合に使用します。
高周波電界によって非磁性金属表面に誘起される渦電流の大きさと磁界・金属表面の距離(皮膜厚み)との電気的相関性を利用して、金属上の絶縁性皮膜の厚さを測ります。
測定対象:導電性非磁性金属(アルミ、銅、オーステナイト系ステンレスなど)素材上の絶縁性膜(塗膜、樹 脂膜、アルマイトなど)や非磁性膜厚
・・・・・難しい専門用語が並んでいますが、簡単に言うと「磁石が付く金属と付かない金属では、同じ塗料・塗装方法でも測定方式・測定モードが違う」ということになります。
異なる方式で測定すると、正確な数値を測定できません。
塗装は「外部からの水分や酸素を遮断し、素材が錆びるのを防ぐため」にされるものです。
そして基本的には塗膜が厚いということは「素材を保護する力が強い」ということであり、薄ければ「保護する力が弱い」ということになります。では「厚ければ厚いほど良いのか」というと・・・・・実はそうではありません。
塗料にはたくさんの種類があり、それぞれに特徴や保護性能があります。そして塗料が持つ保護性能が適切に発揮される膜厚値というものが決まっています。
「膜厚を測る」とは
「塗料の保護性能がちゃんと発揮される適正な厚みであるかどうかを調べる」という作業なのです。
「じゃあ、適正な厚みじゃなかったらどうなるの?」というお話は・・・・・いずれまた。
東洋電装では、上記のような検査を行っておりますが、機器の販売等は行っておりません。ご了承ください。